梨状筋データ【位置と働き】
梨状筋は、大殿筋の深層部にある、梨の形に似た筋肉です。
骨盤の内側から、大腿骨のてっぺんまで伸びています。
梨状筋は、太もも・膝を体の外側に回す「股関節の外旋」の主力筋として作用していますが、脚を外側に振る「股関節の外転」にもほんの少しだけ関与しています。
日常生活では、体を捻る動作や歩行時の方向転換、振り向く動作などの股関節を外旋させる動きに作用しています。
梨状筋の参考値
筋体積 | 53立方センチメートル |
速筋と遅筋の比率 | 50:49 |
スポーツ動作と梨状筋
梨状筋は、サッカーやバスケットボールのように、走りながら体の向きを変える動作を頻繁に行うスポーツでたくさん活用されます。
なぜなら、体の向きを変えるには股関節の外旋が必須であり、梨状筋は方向転換をするときの軸足を支えます。
そのほか、キックボクシング・柔道・バレー・野球などでも使われます。
ハードな動きの中で使用頻度が高いのに筋体積が小さいので疲労が溜まりやすく、インナーマッスルなのでほぐしにくいことから、疲労が蓄積しやすいのが難点。
そのため、スポーツをしているなら梨状筋のケアは欠かせません。
梨状筋症候群
梨状筋症候群は、ヘルニアに似た痛みやしびれが起こります。
負担がかかって硬くなってしまうと、おしりに痛みを起こしたり、側を走る坐骨神経をつぶしてしまいしびれがでてきます。このような病気を梨状筋症候群といいます。
参照:日本脊髄外科学会
腰にも痛みを感じることもヘルニアのようで、腰痛の原因の1つにもなっているんですが、実は、障害梨状筋症候群は日常でもよく見かけられる症状なんです。
マラソンやランニングで発生するので、ランニング系雑誌やメディアでは梨状筋症候群の予防ケアを特集して扱うほどだし、そして、なんと、長時間の座り仕事で外旋筋群が硬くなることによっても発生します。
梨状筋は、普段意識してケアすることもない筋肉なので、放置してると梨状筋に疲れが溜まって硬くなるから、筋肉をほぐすストレッチなどをなるべく取り入れるようにしましょう。
梨状筋のストレッチ方法
梨状筋のストレッチは、梨状筋症候群にならないためだけじゃありません。
坐骨神経の近くにある筋肉は、血行の流れに大きく関わっているので、冷え性の改善も期待できます。
梨状筋の働きは股関節の外旋なので、逆方向に動かす、つまり内旋させる(膝・太ももを内側に向ける)と伸びてストレッチできます。
縫工筋と同じストレッチ方法で伸ばせるので紹介します。
- うつ伏せで横になったまま片足の膝を90度曲げる(足が浮く)
- 足を掴んで、体外側に向かってゆっくり倒す
もう1つ、仰向けで寝て、膝を立てた方の脚でもう一方の脚をまたぎ、手で膝を倒していく方法もあります。
梨状筋のトレーニング法
梨状筋はお尻のインナーマッスルなので、主体となっている筋肉(アウターマッスル)よりも鍛えにくいです。
梨状筋だけを鍛えるトレーニングはなく、尻トレをすると梨状筋も鍛えることができます。
自重でやるなら、ヒップエクステンション(バックキック)がおすすめです。