手首を動かすとき、幅広くかつ多くの筋肉が使われていて、手首の周りだけではなく肘の部分から伸びている筋肉もあります。日常ではそれほど重要視されない筋肉ですが、スポーツ面での役割は重大。
ここでは、手首を動かす6つの筋肉(橈側手根屈筋・長掌筋・尺側手根屈筋・尺側手根伸筋・長橈側手根伸筋・短橈側手根伸筋)を紹介します。
1:橈側手根屈筋
橈側手根屈筋(とうそくしゅこんくっきん)は、肘の部分にある前腕筋膜から手の甲の付け根部分にある中手骨底掌まで伸びる長い筋肉です。表皮に近い部分にあるため、筋トレをすると腕のパンプアップが期待でき、シャツをまくった時に見える腕がゴツゴツして格好よく見せることができます。
尺側手根屈筋は手首を曲げる時に貢献してくれる筋肉で、スポーツだと野球のピッチングやバレーボールのスパイク、またゴルフのスイングなどの動作でよく使います。
肘から手の甲まで長く伸びていますが、肘を動かした時よりも手首を動かした時の方が、この筋肉に大きな負荷をかけることができます。ただし、負荷がかかりすぎてしまうと炎症を起こしやすいという特徴があるので、スポーツをするなど橈側手根屈筋に負荷をかける際には注意したいものです。
トレーニング方法は、手首を巻き込む動作をするリストカールが最も効果的です。その他にも、肘や手首、指の関節を伸展させるストレッチをすることで、鍛えることができます。
2:長掌筋
長掌筋(ちょうしょうきん)は、前腕部の前面の中央部分を肘から手首に向かって走る筋肉で、手首の動きと大きな関係があります。
腕のセンター部分を走っていて、腕を動かしたり重たいものを持ち上げた時など、手のひらを通っている神経や血管を守る役目も持っています。
腕の屈曲や回転などにも貢献していますが、肘よりも手首や手の動きにより多くかかわっているのが、この筋肉の特徴です。
長掌筋は、手首を曲げる動作でよく働きます。ピアノを弾いたりパソコンを使う時や、スポーツだとバレーボールや野球のピッチングなど、手首のスナップが必要となる動作の際に、大きく貢献してくれます。
鍛えることによって腕のパンプアップ効果はあまり期待てきませんが、手首の骨にかかる負荷を軽減することができ、トラブルを起こしにくい手首へと近づけます。
トレーニングはリストカールが最も効果的ですが、普段から手首の屈伸運動をするだけでも、大きなストレッチ効果を得られます。
3:尺側手根屈筋
尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんくっきん)は、肘から手首に向かって走る筋肉の中でも、表皮に近い部分にあり、そして小指側を走っています。主に手の関節の屈伸運動に貢献していますが、肘を曲げたり伸ばす動作でも、この筋肉は補助的にかかわっています。
スポーツだとバドミントンでスマッシュを決める動作、剣道で面を打つ動作の時によく使われますし、日常生活だと金槌を打つ時など手首を小指の方に曲げる動作をする時に使われます。
トレーニングはリストカールが効果的ですが、この部分のトラブルは、肘関節や手の関節のトラブルを引き起こすリスクがあるので、注意しなければいけません。普段からストレッチをするなどして日常的に鍛えるのが良いでしょう。
4:尺側手根伸筋
尺側手根伸筋(しゃくそくしゅこんしんきん)は、前腕部の背面にあり、小指側を走っている二関節筋です。手の関節の伸縮と大きな関係がありますが、中でも小指を曲げたり伸ばしたりする動作に大きく貢献しているという特徴があります。
日常生活だと、ドアをノックする時によく使われますし、スポーツだと空手でチョップをする時などに大きく関与する筋肉と言えるでしょう。
インナーマッスルなのでトレーニングで見た目をパンプアップすることは難しい筋肉ですが、弱くなると手首から小指にかけて痛みが起こりやすくなってしまうので、できれば日常生活の中でも小指をよく動かしたりして鍛えたいものです。
尺側手根伸筋のトレーニング方法としては、ダンベルやバーベルを使ってリバース・リストカールをするのが最も効果的です。
5:長橈側手根伸筋
長橈側手根伸筋(ちょうとうそくしゅこんしんきん)は、前腕の背面にあり、最も外側にある筋肉です。手の関節を動かす際に大きく関わっている二関節筋ですが、肘を曲げたり伸ばしたりする動きにも貢献していますし、腕が内側に回っている状態にある時には、手首を安定させたリ固定させる役割も持っています。
スポーツではテニスのバックハンドや、剣道で竹刀を大きく振る動作で働きますし、日常生活ではフライパンや金づちを手に持って振るという動作をする時によく使う筋肉です。負荷がかかりすぎると肘の関節が痛くなり、テニス肘と呼ばれる症状が起こってしまうので、注意しなければいけません。
トレーニング方法は、リバース・リストカールが効果的ですが、普段からストレッチしてあげる事もまた、筋肉に負荷をかけずに鍛えられるのでおすすめです。
6:短橈側手根伸筋
短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)は手の関節の伸縮と大きな関係がある筋肉で、手首の伸展が求められる動作やスポーツでは、とても重要になる筋肉です。
テニスで大きなスイングをしたり、ボールを投げる動作、剣道で竹刀を振りかぶる動作をする時には短橈側手根伸筋に大きな負荷がかかりやすく、慢性的な負荷が続くとテニス肘のような筋肉炎症を起こしやすくなります。一方、弱ってしまうと手の関節や肘関節にかかる負担が大きくなり、関節トラブルが起こりやすくなってしまいます。
トレーニング方法としては、リバース・リストカールが有効です。