縫工筋データ【位置と働き】
縫工筋は太ももの表層にあるアウターマッスルです。
骨盤前側から膝の内側に向かって斜めに走る、人体で一番長い筋肉です。
縫工筋は、股関節と膝を動かす二関節筋(にかんせつきん)という筋肉で、主な役割は4つです。
- 脚を前に出す(股関節の屈曲)
- 太もも・膝を体の外側に回す(股関節の外旋)
- 膝を曲げる(膝関節の屈曲)
- 脚を体の外側に振る(股関節の外転)
日常生活では、歩いたり走ったりするときに使うことが多く、そのほかにも自転車やバイク、椅子にすわるなどの膝を曲げる動作で使われていますが、一番使われるのは、あぐらをかいたり椅子に座って脚を組むとき。
実は、「縫工筋」の呼び名は、あぐらをかいて仕事をすることが多い縫裁職人が由来になっているほど、あぐらをするときに働く筋肉なんです。
あぐらは股関節の屈曲や外転、外転、膝の屈曲といった動作が必要不可欠であり、縫工筋が最も働く動作です。
縫工筋の参考値
筋体積 | 140立方センチメートル |
速筋と遅筋の比率 | 50.4:49.6 |
スポーツ動作と縫工筋
スポーツにおいても縫工筋が働く動作は様々あり、主なスポーツとしては「サッカー」、「水泳」、「空手」などが挙げられます。
中でも代表的なのは、サッカーのパスの際に使用する「サイドキック」です。サイドキックは足のふくらはぎの部分を前方へ出す動作をします。これは股関節の外旋なので、縫工筋が必ず必要となります。
とはいえ、縫工筋は体を動かす際、メインとして働く筋肉ではなく他の筋肉と複合的に動作をする筋肉となっているため、トレーニングを行ったからといってパワーに関与する筋肉ではありません。
また、縫工筋は肉離れになりやすい筋肉としても知られていて、縫工筋に疲労が溜まっているときに急な運動をすると危険なので注意しましょう。
鵞足炎(内膝の痛み)の原因は縫工筋
鵞足炎(がそくえん)になると、内膝下側の骨と腱が擦れて炎症を起こし、じわじわとした痛みを感じます。
そもそも鵞足とは、縫工筋・薄筋(内転筋群の1つ)・半腱様筋(ハムストリングの1つ)の3つの筋肉の腱が骨についている場所のことで、その場所が、内膝の下側なんです。
縫工筋をたくさん使うサッカーやバスケ選手に多く、膝が内側に倒れるアンダープロネーションのランナーや、エックス脚も鵞足炎になりやすい傾向があります。
もともと、鵞足と膝関節は触れ合わないようになっていますが、内転筋群を含む内ももの使い過ぎで筋肉が硬くなり縮むと、鵞足が引っ張られて遊び(余裕)がなくなり、骨に当たって擦れてしまいます。
痛んだら、アイシングで炎症を止めると治りが早いですが、もともとの原因は固くなった筋肉なので、こつこつじっくりとストレッチしないとまた再発します。
縫工筋のストレッチ方法
縫工筋は、太ももの内側のストレッチで伸ばすことができます。
足裏同士を付けて、膝を押す方法がやりやすいですが、もっと効果のある次の方法をオススメします。
- うつ伏せで横になったまま片足の膝を90度曲げる(足が浮く)
- 足を掴んで、体外側に向かってゆっくり倒す
この方法は、内ももがしっかり伸びているのが実感できます。
縫工筋のトレーニング法
縫工筋だけをピンポイントで鍛えるトレーニングはなく、内もも筋トレや、股関節の動きを伴う筋トレで複数の筋肉をまとめて刺激して鍛えましょう。
- ヒップアブダクション
- ワイドスタンススクワット
- レッグレイズ
ヒップアブダクションは、内ももをピンポイントで鍛えるので、縫工筋トレーニングに最適です。
スクワットは、スタンスをワイド(肩幅の1.5倍以上を目安)にすると内ももへの刺激が強まります。
レッグレイズは、一見すると縫工筋に関係ないようにみえますが、縫工筋の主な働きの1つである股関節の屈曲(脚を前に出す)動きによって、刺激を与えることができます。