三大栄養素のうちの1つであるタンパク質は、私たちのカラダの中で筋肉や臓器に皮膚など、カラダづくりの中心となる栄養素。
筋肉の材料になるから、筋肉むっきむき・・・までとはいかなくても・・・筋肉を増やしたいならしっかり摂取するのはもはや当たり前だよね。
でもね、筋トレをしてると、「どうやってタンパク質が筋肉になるのか」「いつどのくらい摂ったらいいのか」「何を食べたらいいのか」など、気になると思うの。
筋トレ効果を引き上げるタンパク質の賢い摂取方法をまとめておいたから、刮目して読んでちょうだいね♪
タンパク質はどうやって私たちの筋肉になっているの?
いきなりだけど、人間のカラダに何種類のたんぱく質があるか知ってる?
現在人の体に存在するタンパク質の種類は、おそらく10万種類にもおよぶといわれています。
北海道立衛生研究所
タンパク質って1つだけだと思ってたんだけど、こんな膨大な種類があるのね・・・。まあ、そんなことはどうでもいいんだ。
牛肉・豚肉・鶏肉。どれも全部タンパク質たっぷりの食材だけど、どうやって人間の筋肉になってるのか考えたことあるかしら?
動物のお肉を食べてもその動物にならずに人間のカラダの一部になるのは、摂取した食べ物を生物共通の材料になるまで分解するメカニズムが働いているからなんだよ。
動物も植物も、すべてのタンパク質は生物共通である20種類のアミノ酸からできていて、私たちは胃腸でお肉をアミノ酸まで分解してから体内に吸収しているので、人間のカラダの材料として取り入れることができるんだよ。なんかすごいねぇ!
ちなみに、筋肉が伸びたり縮んだりできるのは、収縮タンパク質であるアクチンとミオシンによって「筋原繊維(きんげんせんい)」を構成しているからなんだよ。って、どうでもいいことだよね(笑)
私たちのカラダにたんぱく質はどのくらいあるの?
ところで、私たちのカラダのタンパク質量は、次の式で計算できるんだよ。
(体重-水分)×50%
うん、わかりにくい(笑)
水分は体重の60~70%だから、残り30~40%の50%(←ややこしいな)となって、結局は体重の20%ぐらいがたんぱく質ってことになるのね。
体重50kgなら10kg、60kgなら12kg、70kgなら14kgも!
こんなに大量なタンパク質が体内にある理由は、筋肉の他にホルモンを作ったり骨を伸ばす材料にもなるからなんだ。
では、どんなタンパク質をどんな形(食材)でどれくらい摂ったら筋肉を効率的に増やせるのか紹介するよ。
1日&1食のたんぱく質摂取量と摂るタイミング
たんぱく質は1日にどれくらい摂ればいいの?
もう最初に言っちゃうけど、筋肉増やすなら1日のたんぱく質は体重×1.5g以上は必要だよ。
と、いっておきながら、実は、タンパク質の1日の摂取量は、研究者や文献により異なっていて「これくらいキッチリ」と数値化することは難しいんです。
厚生労働省でさえも、平均必要量を決めるときに数値が異なる17もの研究データを使っているから、国としても「コレ!」とズバリ数値化するのは難しいってワケ。
「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書(厚生労働省)によると、カラダの維持に必要な1日の摂取量は体重1kgにつき0.65gなので、体重50kgなら32.5g、体重70kgなら45.5gということになるんだけど、「体重1kgにつきタンパク質1g」説が当たり前化しているので「どっちが本当?」となんだかわけのわからない状態なのよね。
それなのに、「筋肉増やすなら体重×1.5g以上摂ってね」とするワケは、「新版コンディショニングのスポーツ栄養学(樋口満編)」によると、筋トレ系トレーニングの多くは1.2~1.7gの範囲内に収まっていることなの。
筋力アップ時の理想とされる1日の摂取量が、体重1kgにつきたんぱく質2g前後っていうのにもだいたい合致してると思わない?
参考までに、同書によると運動しない人は0.8g、運動をたしなむ人で1g前後としていることから、「体重1kgたんぱく質1g」説は適度に運動をして健康的な毎日を送っている人向けの数値で、筋肉増量なら1.5g~ってことでいいみたいなの。
厚労省データとスポーツ栄養学を参考にすると、1日に摂りたいタンパク質量は次のとおりね。
- 運動しない人・・・0.65~0.8g
- 適度に運動する人・・・1g前後
- 筋肉を増やしたい人・・・1.5g以上
じゃあ、これを何食で摂ればいいのか知ってる?
1食あたりのたんぱく質の摂取量の目安【1回30gまではウソ?】
1食で摂るたんぱく質の量は、体重60kgの人なら30g、体重70kgなら35gあれば必要十分だよ。
もし、100kgあるなら1食で50g必要な計算になるね。
ここで、1つギモンが湧いたんじゃないかな?
それは、「1回の食事で吸収できるタンパク質は30~40g」ってウワサのこと。
この分野の研究はまだまだ未解明のコトが多すぎて真相がハッキリしていないんだけど、腑に落ちないことがたくさんありすぎるから、たぶんウソだと私は思ってるの。
実際に、否定意見もかなり増えてきているんだよね。
だって、例えば1食で40gまでしか吸収できないなら、国の基準(カラダの維持に0.65g/kg必要)を当てはめるとMAX体重は185kgとなるワケなんだけど、お相撲さんはどうなるんだってことじゃない?
ところで、お相撲さんの食事知ってる?
ちゃんこ鍋?うん、そうだけど、力士のみなさんって、1日に2食しか食べてないんだよ!
朝稽古して、11時にブランチとして1食、夕食として17時半(場所中は18時頃)に1食なんだけど、これじゃあ1日に80gのたんぱく質しか摂取できないことになるよね。
それなのに、2013年に日本相撲協会が実施した幕内力士の体脂肪測定によって、平均体重は161.2kgで平均体脂肪率は32.5%、除脂肪体重は108.3kgという、見た目に比べてかなりの筋肉質という結果が分かったの。
ポイントは、除脂肪体重ね。108.3kgって骨量を引いてもざっと100kgはあるでしょ。
お相撲さんはいつもカラダを動かしてるアスリートだから、体重×1.5gのたんぱく、つまり161×1.5g=241gは必要なワケ。除脂肪体重で計算しても162gなのよ。
それなのに、1日2食によるたった80gのたんぱく質吸収であのカラダを維持できるとは到底思えないよね。
きっと、1食で40g以上のたんぱく質を吸収しているんだと思うの。
だから、私たちレベルなら、1食30gとか気にしないで、摂れるときに摂るのがいいと思ってるよ。
たんぱく質を摂るべきタイミングがある!たんぱくの吸収メカニズム
さっそく結論をいっちゃうと、運動したあと30分以内にタンパク質をガッツリ摂っちゃって!
ていうのも、タンパク質には傷ついた筋肉を修復する働きがあるんだけど、運動すると筋肉繊維が断裂して傷つくから
この、エネルギーをたくさん使ったトレーニングの後は、栄養素を摂取しやすいアナボリックといわれる一種の飢餓状態が30分ほど続くから、カラダは素早く栄養を吸収できる状態になっているのね。
アナボリックはたんぱく同化作用とも呼ばれ、筋繊維に栄養(タンパク質)を送る最大のチャンスだから、運動後にプロテインをグイッと補給してたっぷり吸収させて筋肉に届けているんだよ。
炭水化物やビタミンも一緒に摂ろう!
どんなにタンパク質をたくさん摂っても、筋肉の合成を促進する炭水化物やビタミンがないとダメなの。
ビタミンB群にはタンパク質の吸収をサポートする働きがあるし、炭水化物を摂ると分泌されるインスリンには、アミノ酸の吸収を増やす作用があるので、糖質(炭水化物)を一緒に摂ると筋肉が育ちやすくなるのね。
炭水化物といってもごはんはダメよ。炭水化物には、もっとも小さく消化吸収が早い「単糖類」、分解されると2つの単糖類に分かれる「二糖類」・消化吸収に時間がかかる多糖類があり、カラダにすぐ吸収されるのは単糖類や二糖類。
単糖類はフルーツに含まれる果糖で、二糖類は砂糖や水飴や乳糖、つまり甘いお菓子や牛乳だから覚えておいてね。
だから、運動後たった30分のゴールデンタイムであるアナボリックのときに、スピーディーにタンパク質の働きを助ける単糖類や二糖類を取るのがいいんだよ。
ほら、バナナやチョコを一緒に食べたり、プロテインの牛乳割りとか飲むよね。
アレ、めちゃ理にかなっているんだよ。
たんぱく質の消化吸収時間
どんな食べ物でも消化吸収に時間が必要だから、タンパク質がカラダに取り込まれるまでにある程度の時間がかかるの。
吸収までの時間は食べてから4~6時間ほどなんだけど、液体は早くて1~2時間(ホエイプロテインの場合)で、固形は時間がかかり、中でも脂質が多いものほど消化が遅れるのでなかなか吸収されないの。
だから、皮なし鶏むね・ササミ・熱して脂を落とした白身魚は早くたっぷりたんぱく質を補給できるんだよ。
たんぱく質の吸収割合
1日にタンパク質を120g摂ったとしても、すべてが体内で使われるワケじゃないから注意が必要だよ。
帯広畜産大学の食品栄養学(タンパク質)のページを参考にすると、体内で使えるたんぱく質の量は、
正味タンパク質利用率 = 体内保留窒素/摂取窒素 × 100(%)
の計算式で表すことができるんだけど、もはや意味が分からないよね(笑)
平たくいえば、食材によって窒素に含まれるたんぱく質の含有率、つまり「アミノ酸スコア」に人体での利用効率を掛け算した分だけのたんぱく質を摂取できるってことなの。
まだ、ピンとこないと思うからざっくりいうと、「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書によると、たんぱく質の利用効率は高校生で85%ってことを覚えておいて損はないと思うよ。
動物性と植物性:2種類のたんぱく質と食材比較表
「たんぱく質を摂るなら肉を食え!」とよく言われるよね。
肉にはタンパク質がたっぷり含まれているので、筋肉愛好家からの評価はめちゃくちゃ高いけど、魚(魚介類)や卵に大豆など、お肉以外にもタンパク質が豊富な食材はたくさんあるよね。
肉・魚・卵のように動物が原料となっているものを「動物性たんぱく質」、大豆など植物由来のものは「植物性たんぱく質」と言われているんだけど、筋肉の材料として有効なのは動物性で、植物性タンパク質は少し劣っているとされているんだよね。
植物性たんぱく質が筋肉増量で劣るとされる理由
「豆はタンパク質が豊富だから筋肉はつくはず!」と思っちゃうじゃない?
でもね、昔の食事のことを考えてみて欲しいの。
豆は今も昔も日本の食卓に並ぶ食べ物で、古事記や日本書紀に大豆のことが書かれていることからも、西暦700年代の奈良時代から植物性たんぱくが豊富な豆が食べられているのが分かってるんだ。
しかも、当時の調理法は、大豆たんぱくを余すことなくしっかりと補給できる煮豆がメインであるにもかかわらず、昔の日本人はひょろっとして身長も低く、筋肉ムッキムキに程遠いフォルムをしてたんだ。
そもそも、摂取量自体が足りていなかったのかもしれないけど、植物性は動物性よりも体への吸収率が低いデメリットが働いていたかもしれないんだよね。
ただし、誤解して欲しくないのが、植物性たんぱく質も良質なタンパク質であるということ。
ジム・モリスさんというベジタリアンのボディビルダーがいるので、植物性たんぱく質で筋肉を増やせるんだよ。
しかも、動物性たんぱく質と一緒に摂ると吸収率が上がるとされているから、食べ方を工夫すれば脂肪を落としながらヘルシーに筋肉をつけることができるので、良質なたんぱく質だと思うんだよねぇ。
動物性たんぱく質を摂るならどれがいいの?
動物性たんぱく質は、肉、魚(魚介類)、卵、乳製品などさまざまな食品から摂れるよね。
ローカロリー高たんぱくな鶏ささみや皮なし胸肉なら効率よく筋肉つけてムダな脂肪も落ちそうだけど、それぞれ栄養素が違うからバランスよく食べてね。
だってね、筋肉を増やしてくれる男性ホルモンの材料になる脂も摂らないと筋肉がちゃんとできあがらないし、魚には、筋肉増強できる成分が入ってたりするから、タンパク質とカロリーばかり気にしてちゃいけないんだよ。
あのライザップの食事本にも、魚のレシピが載ってるし、食事はバランスよくが一番!
ちなみに、同じ食材ばかり食べているとカラダが慣れて吸収しにくくなるとかいうけど、アミノ酸など人間が必要とする成分には慣れることはないっていわれているよ。
タンパク質がたっぷりな食材比較表
食材ごとに、カロリーとタンパク質はもちろん、脂質・炭水化物も含めた総カロリーも気になるだろうから、筋肉増量時に食べたい食材(日常的に手に入りやすい)を日本食品標準成分表2015年版より抜粋して、表でまとめてみたよ。
タンパク質と糖質(炭水化物)のゴールデンバランス1:3を考慮して、この2つの栄養素を載せておくね。
植物性 | 食材名 | たんぱく質 | 糖質 | カロリー |
木綿豆腐 | 6.6g | 1.6g | 72kcal | |
絹豆腐 | 4.9g | 2.0g | 56kcal | |
豆乳 | 3.6g | 3.1g | 46kcal | |
動物性 (魚介類) |
食材名 | たんぱく質 | 糖質 | カロリー |
イワシ(まいわし) | 19.2g | 0.2g | 169kcal | |
しらす干し | 40.5g | 0.5g | 206kcal | |
カツオ(春獲り生) | 25.8g | 0.1g | 114kcal | |
鮭(生) | 22.3g | 0.1g | 133kcal | |
イカ するめいか/やりいか |
17.9/17.7g | 0.1/0.4g | 83kcal/85kcal | |
動物性 (肉) |
食材名 | たんぱく質 | 糖質 | カロリー |
国産牛肩(赤身のみ) | 19.9g | 0.5g | 143kcal | |
国産牛もも(赤身のみ) | 21.9g | 0.4g | 140kcal | |
国産豚肩(赤身のみ) | 20.9g | 0.2g | 125kcal | |
国産豚もも(赤身のみ) | 22.1g | 0.2g | 128kcal | |
鶏むね(皮なし) | 22.0g | 0.0g | 121kcal | |
ささみ | 24.6g | 0.0g | 114kcal |
植物性たんぱく質を効率よく摂るなら大豆製品だよね!
豆腐は食べやすく量も摂れるし、豆乳は筋トレ後のたんぱく質補給のお供にすることも多いよね。
しらす干しは半乾燥の「ちりめんじゃこ」。スーパーで売ってるものは微乾燥のもので、タンパク質・カロリーともに約半分にダウンするよ。
カツオは、脂がのる秋獲りはタンパク質そのままのカロリー1.5倍になるから気を付けてね。
このほか、鯖やサンマもお手頃だけど、サケやカツオよりタンパク質が少ないうえカロリー(脂分)が多いので掲載しません。
貝類は(お高いですが)どれもローカロリーでタンパク質たっぷりですよ。
肉類は部位によってカロリーが大きく違うんだよ。
牛なら、サシが少ない赤身肉がgood。中でも、ももはカロリーが低いにタンパク質たっぷりなのでオススメ。
国産ブランド牛よりも国産の安いお肉の方がカロリーは断然低く、輸入牛肉はさらに1割ほどカロリーダウン(タンパク質はほぼそのまま)します。
内臓肉はヘルシーと言われますが、ハラミ(横隔膜)、マルチョウ(小腸)、ギアラ(第四胃)はハイカロリーなので控えた方がいいよ。
豚も、牛と同じく脂身を取り除いた肩とももがローカロリー高たんぱく。
王道は、鶏むね肉とササミ。価格もお手頃なので、お世話になる人も多いハズ!
筋肉を増やすたんぱく質の摂り方まとめ
- たんぱく質は、体重1kgにつき1.5gを目標に。
- 植物性たんぱく質は動物性と一緒に摂る。
- 食事はバランス良くが大前提
- タンパク質の吸収効率が良くなるビタミンB群と単糖類・二糖類を一緒に