PFCバランスについて
- P=protain(プロテイン)=タンパク質
- F=fat(ファット)=脂質
- C=carbohydrate(カーボハイドレート)=炭水化物
PFCバランスは、1日のエネルギーを上記三大栄養素からどのくらい得ているか(得ればいいのか)を示す割合です。
食事の栄養バランスを数値で評価して、健康管理につなげるための指標になるものですが、筋トレやダイエットをするときの目標基準にも使われます。
栄養バランスと聞くと、ビタミンやミネラルも想像しますが、PFCバランスは人間のエネルギー(カロリー)になる部分だけをターゲットにしているので「エネルギー産生栄養素バランス」と呼ばれています。
理想のPFCバランス(国の指針)
厚生労働省では、理想のPFCバランスを次のように設定しています。
- P(たんぱく質)13~20%
- F(脂質)20~30%
- C(炭水化物)50~65%
1日の摂取カロリーを、この割合の中で摂る(合計で100%になるように摂る)といいとしています。
1日に2,650kcalが必要とされる成人男性の目安
- P=344~530kcal(86~132g)
- F=530~795kcal(58~88g)
- C=1,325~1,722kcal(331~430g)
1日に1,950kcalが必要とされる成人女性の目安
- P=253~390kcal(63~97g)
- F=390~585kcal(43~65g)
- C=975~1,267kcal(243~316g)
※カロリーは、厚生労働省発行「日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要」より引用
割合としては【P2 : F3 : C5】や【P2 : F2 : C6】といったところでしょうか。
でも、この割合は筋トレやダイエットしている人には、向いていません。
なぜなら、たんぱく質量が足りていないし、脂質が少し多いからです。
筋トレ&ダイエットが成功しやすいPFCバランス
筋トレは、どのくらい筋肉を付けたいかにもよりますが、ボディビルダーは【P4 : F2 : C4】のバランスでカロリーを摂取しています。
ただ、この割合で食事してみると分かるのですが、食事の制限がひどい!
F(脂質)とC(炭水化物)を削ってP(たんぱく質)を摂ろうとすると、食べられない食材が多いし、タンパク質は割高なので食費もかかります(月1万円ぐらいアップ)。
もし、ボディビルダーのようなムッキムキのゴリマッチョになりたいなら【P4 : F2 : C4】を目指した方がいいでしょう。
でも、適度に筋肉をつけたり、体を引き締めやダイエットが目的なら、厚労省基準の【P2 : F2 : C6】や少しだけカラダ作りの意識を高めにした【P2.5 : F2 : C5.5】ぐらいが、無理感がないのでちょうどいいです。
筋トレやダイエットを成功させるには、P(タンパク質)の摂取がめちゃ大事!
P(たんぱく質)を2~2.5にしてF(脂質)を2にすると、筋肉を落とさずor増やしながら脂肪を削れるよ。
この割合を摂取量やカロリーにすると、こんな感じ。
栄養素 | P(タンパク質) | F(脂質) | C(炭水化物) |
成人男性 | 166g(664kcal) | 59g(531kcal) | 364g(1,456kcal) |
成人女性 | 121g(484kcal) | 44g(396kcal) | 268g(1,072kcal) |
ここまで紹介したPFCバランスは、あくまでも平均的な日本人の推奨値。
さて、筋トレとダイエットに適したPFCバランスが分かったところで、個人ごとの目標設定(PFCバランス計算)をしていきましょう!
PFCバランスを計算【自分向けカスタマイズ】
自分向けのPFCバランスは、次の順番で計算します。
1日の総カロリーを算出 → P(タンパク質)の最低限摂取量を計算 → F(脂質)の最高値を計算 → C(炭水化物)でカロリー調整
では、具体的に見ていきましょう。
1:1日の総摂取カロリーを計算する
1日の摂取カロリーは、【体重×40kcal】で計算するのがオーソドックス。体重65kgなら2,600kcalです。
このカロリーは、PFCの摂取量を決めるもとになります。
カロリーは筋肉や臓器の活動エネルギーになるので、このカロリー分は摂取するように心がけます。
しかし、脂肪は活動エネルギーを使わないためカロリーを与える必要がないので、減量(ダイエット)するときは【除脂肪体重×40kcal】でやると成果がでやすいですよ。
さらに、【除脂肪体重×35】にすると一段と減量できるけど、カロリー摂取量がいきなり減ってお腹が空きやすいので、徐々に摂取カロリーを少なくするとカラダが慣れてキツさを感じません。
効果が高い(総カロリーが低くなる)順番
- 除脂肪体重×35kcal
- 除脂肪体重×40kcal
- 体重×35kcal
- 体重×40kcal
座り仕事がメインなら低め、肉体労働系なら高めに調整しましょう。
実は、摂取カロリーの総量よりもバランスの方が大事です!
2:P(たんぱく質)を計算する
- 【P(タンパク質) = 体重(もしくは除脂肪体重)×2g】
- 熱量は、1gにつき4kcal
※65(kg) × 2g = 130g
130g × 4kcal = 520kcal
タンパク質は体のもととなり、筋肉だけじゃなく皮膚や髪に骨・臓器などの材料になるので、しっかり摂りましょう。
体を保つには体重1kgあたり1gでいいんですが、ダイエットは筋肉が減りやすいし、筋肉を増やすにはP(タンパク質)がキモなので2gです。
3:F(脂質)を計算する
- 【F(脂質) = 1日のカロリー × 20%】
- 熱量は、1gにつき9kcal
※2,600kcal × 20% = 520kcal
520kcal ÷ 9kcal = 57g
F(脂質)はダイエットに悪害とばかり思われがちですが、細胞膜を作ったりホルモンの材料になるので必ず摂取してください!
ただし、摂り過ぎると脂肪細胞に蓄積されるので、国が推奨する下限の「1日のカロリー × 20%」までです。
4:C(炭水化物)を計算する
- 【C(炭水化物) = 1日のカロリー - Pのカロリー - Fのカロリー】
- 熱量は、1gにつき4kcal
※2,600kcal - 520kcal - 520kcal = 1,560kcal
1,560kcal ÷ 4kcal = 390g
C(炭水化物)は、体の活動エネルギーです。
極端に足りなくなると、筋肉を分解して活動エネルギーを補うので、筋肉が減って脂肪はそのままだから体脂肪率は増え、筋トレ&ダイエットの足かせになります。
とはいえ、摂り過ぎると脂肪となって体に溜まるので摂り過ぎ厳禁!
P(タンパク質)を増やしたらCを減らすといった具合に、摂取カロリーの調整はC(炭水化物)で行います。
5:PFCのカロリーを総カロリーの割合に数値化する
さて、PFCと1日のカロリーすべてが分かったところで、割合に置き換えてみましょう。
摂取カロリー | 2,600kcal | 100% |
P(タンパク質) | 520kcal(130g) | 20% |
F(脂質) | 520kcal(57g) | 20% |
C(炭水化物) | 1,560kcal(390g) | 60% |
これで【P2 : F2 : C6】となりました。
一度これでやってみて、Pを増やしてCを減らすなど調整していってください。
PFC計算の例外(少し特殊なカロリー計算)
カロリーは、P:4kcal、F:9kcal、C:4kcalで計算できるけれども、食物繊維とアルコールはこれに当てはまりません。
食物繊維はC(炭水化物)のくくりにあるけど、エネルギー量は0~2kcalとされています。
しかし、計算上、C(炭水化物)ひとくくりにして×4kcalした方が面倒がないですし、1日の摂取量からしても大差ありません。
アルコールのカロリーは7.1kcalですが、便宜上、整数を用いて7kcalで計算することが多いです。
しかし、アルコールは体内ですぐに熱となって体に貯めることが難しいので「エンプティカロリー」と呼ばれ、実際にはもっとローカロリーなのではとされています(エンプティ=からっぽ なのにゼロkcalではありません)。
実践!俺のPFCバランス大公開
まずは、筋トレダイエット開始前に何も考えずに食べていた食事メニューから。
まったく繕っていない、素のままのいつもの食事だ。
この食事を記録したときの私のスペックは、身長170cm・体重64kg・体脂肪率13%であり、1日のカロリー摂取量を次のように定めたんだ。
除脂肪体重:64-(64×13%)=56kg
56×35kcal=1,960kcal
つまり、筋肉を増やさず減らさず、脂肪だけを落とす食事を心掛けたものであり、意図せずとも、カロリーは目標値に収まっているのには、私も驚いた。
この食事は、厚労省が指針とする【P2:F2:C6】に対して【P2:F3.4:C5.5】と明らかに脂質がオーバーしている。
しかも、タンパク質を112g(56×2g)とらなくちゃなのに、96gしか摂れていないのがマイナスポイントだ。
この反省を生かして、Pタンパク質【↑】・F脂質【↓】・C炭水化物【→】を目指した食事が次の画像(先ほどの食事から4日後)だ。
今回もタンパク質が目標値に届かないミスをしたが、タンパク質を増やしながら脂質をグンと減らすことに成功したんだ。
このPFCバランスは【P2.5:F1.6:C5.9】となり、ダイエットが捗る割合になっている。
ただし、カロリー不足なので、一日中座りっぱなしならいいかもしれないが、運動すると筋肉をすり減らす食事ともいえるだろう。
筋トレ&ダイエットに適した食べ物
筋トレで筋肉をつけながら脂肪を増やさない(または減らす)には、筋トレには低カロリー高たんぱくが推奨されています。
これは、ダイエットで脂肪を絞っていくときもしかり。
しかし、カロリーを摂らないと筋トレでエネルギーが足りずに筋肉が分解されるので筋肉が付きにくいのでバランスよく食べるのがいいけど、そのバランスが良く分かりにくいもの。
お肉なら、鶏むね、ササミを中心に、牛・豚なら赤身肉をボイルか油なしで焼く。
魚なら脂の少ない白身魚がいいけど、光ものには人間に必要な不飽和脂肪酸が豊富なので、時々食べたい。
豆腐や納豆の豆類や卵は、栄養もタンパク質も多いけど脂質も多いので1日1回にするなど工夫が必要。
あとは野菜中心に海藻を加えると、自然と【P2 : F2 : C6】のバランスに近づきます。
自分の食事を書き出そう【便利アプリも紹介】
どんなに良い目標を立てても、現実の食生活とは程遠いことが多いので、ざっくりでもいいので食事内容を書き出して、可視化することをオススメします。
いや、オススメというより、やるべし!
食材や食べたもののPFCを管理・計算するスマホアプリもあるので、活用するとラクにできますよ。
- My Fitness Pal(UNDER ARMOURのアプリです!)
- PFCボディメイク(国産の個人アプリ)
パソコンでやるなら、食材Slimsというサイトで食材ごとのPFC量をチェックするといいです。
現代の食事はF(脂質)の割合が高いので、普通に食べているつもりでも、F(脂質)が30%を軽く超えてくることもザラだということに気づくはず。
食事管理はちょっとだけ大変だけど、トレーニングと組み合わせればみるみるうちに体脂肪率は減っていきます。
ダイエット&筋トレ強化期間中だけでいいので、じゃなければ、期間中の半分でもいいし、なんなら最初の3日間だけでもPFCバランスを確認して、カラダ作りを成功させてください!