胸筋のトレーニングなら腕立て伏せ(プッシュアップ)が定番だが、筋トレに慣れるにつれて飽きるし負荷の低さが気になるかもしれない。
そんなときに思いつくのが、ダンベルを使った高負荷なトレーニングだろう。
バーベルやマシンのようなデカいモノはハードルが高いし場所も取るけれども、ダンベルなら場所を選ばないうえにバーベル寄りの筋トレができるお手軽さがある。
ここでは、バーベルやマシンで行う胸筋トレをダンベルで代用できる4つの種目を紹介しよう。
まずは、1種目だけでいいからチャレンジしてみてくれ。
といっても、1つの筋肉につき複数の種目で追い込むことが筋肥大につながりやすいので、できるなら4種目こなせることが望ましいし、負荷の高いダンベル系種目から始めて、最後は軽めの腕立て伏せ(プッシュアップ)というのもアリ。
トレーニングの負荷アップだけではなく、バリエーションの多様化の手段としてもダンベル系種目を身に着けておくと、理想の肉体美(男性ならたくましく厚い胸板、女性ならバストアップ)を手に入れやすくなるぞ。
ダンベルフライ
ダンベルフライは、大胸筋を集中して鍛えることができる、胸筋トレの代表格なトレーニングだ!
同様に肩を並べて人気のあるベンチプレスは、バーベルが必要だから自宅ではなかなかできないし、胸以外の腕や肩にも刺激を与えるトレーニングだが、ダンベルフライは自宅でやりやすいだけじゃなく、単関節動作で大胸筋をピンポイントで狙えるから、純粋な胸トレ種目といってもほぼ間違いじゃないぞ。
しかも、筋力に合わせてダンベルの重さを変えて負荷を高低できるのも特徴のひとつで、まず始める重さは、女性なら2kg程度、男性初級者なら5kgぐらいでも満足いく効果を得られるだろう。
ちなみに、ここでいう重さは「片側」であることはもちろんだぞ。
メインターゲット筋肉 | 大胸筋 |
サブターゲット筋肉 | 上腕二頭筋、三角筋(前部)、前鋸筋 |
レベル | 初級~中級 |
必要な器具 | ダンベル、トレーニングベンチ(なくてもOK) |
上腕二頭筋や三角筋の前部にも刺激が入るがほんの気持ち程度で、負荷のほとんどは大胸筋にいくぞ。
ダンベルフライのやり方
それでは、ダンベルフライのやり方を、順を追ってチェックしていこう。
1:セットポジションを作る
まずは、左右の手それぞれでダンベルを握ってからトレーニングベンチに仰向けになってくれ。
このままでは安定性に欠けるので、ヒザを曲げて足裏で床に踏みつけるようにしてカラダを安定させよう。
そしたら、腕を横(水平)に広げる(ヒジを若干曲げる)んだが、このとき、手のひらが上、手の甲が床に向くようにする。
これで、基本となるセットポジションの完成だ。
2:弧を描くようにダンベルをあげる
ダンベルフライは、左右それぞれに持ったダンベルで半円を描くように動かすことで、トレーニング成果が発揮されるんだ。
息を吸いながら、両腕を徐々に閉じつつ左右のダンベルを近づけていき、胸の上で手のひら同士が合わさるように動かしていこう。
このとき、ヒジの角度はいっさい変えてはいけないぞ。
上げきったら、スグにダンベルを降ろす動作に移ってくれ。
なぜなら、大胸筋に刺激がいくのは、上げ下げの動作をしている時だけだから、動きを止めるのは休んでいるのと同じこと。
動き続けることを忘れてはいけないぞ。
3:元(セットポジション)に戻す
セットポジションに戻すときは、息を吐きながら上げたときと同じ軌道、同じスピードでダンベルを動かそう。
下げ切ったときがセットポジションに戻ったときだが、ここで休んではいけない。
スグにまたダンベルを上げる動作に移るんだ!
8~10回を1セットとし、合計3セットで大胸筋を限界まで追い込んでくれ!
ダンベルフライのココに注意!
ダンベルフライは、2つのダンベルで半円を描くように動かすのが大切で、胸を開く&閉じるというイメージを持ってもOK。
ヒジが大きく曲がって半円を描けなかったり、腕の力であげてしまうと大胸筋に効かなくなるから注意してくれ。
そもそも、大胸筋は肩関節を動かす筋肉だし、肩は肩甲骨と一緒に動くので、肩甲骨を寄せる・開くを意識した肩の動作でダンベルを上げ下げするのがとても大切だ。
とくに、下げるときに「大胸筋が伸びてるぅ」「外側に広がってるなぁ」と感じられたら効いている証拠なので意識し実感してくれ!
それと、ベンチはあった方がいいだろう。
なぜなら、正しいフォームはヒジを若干曲げるし、セットポジションでのダンベルの位置は胸の高さと一緒でヒジは背中側に行くのが正しい。
つまり、ヒジを背中側まで動かせる(肩の可動域が広がる)ので、より強い刺激を大胸筋に与えられるぞ。
とはいえ、ベンチはなくても問題なくできる。
ただし、可動域が狭くなるので負荷が弱くなってしまうから、筋力に自信がないうちはノーベンチでも問題ないだろうが、パワーがついてきたり早いうちから正しいフォームで胸筋をしっかり鍛えたいというならベンチを用意してみよう。
ベンチプレス後の追い込みとしてダンベルフライをすることが多いが、まずはダンベルフライだけでも問題ない。
ダンベルの重さトレーニング成果のカンケイ
ダンベルは重すぎても軽すぎてもトレーニング効果が得られない。
早く筋肉をつけようと、今の筋力で無理があるような重いダンベルを使うと、上げきれない降ろしきれなくなり可動域が狭くなって逆に効果がダウンするから気を付けてくれ。
ダンベルフライは、上げ下げをして負荷をかけながら大胸筋をより伸ばすことが効果を得る秘訣でもあるから、可動域が狭いのは、どんなに重いダンベルを使おうともトレーニング効果を奪っていることになるんだ。
肘が曲がるほど大胸筋への刺激が弱まる。筋力に合わない重いダンベルを持つほど、ヒジが曲がり正しいフォームで動かせない傾向にあるので、軽めのダンベルに持ち替えた方がトレーニング効果を得やすくなるぞ。
筋力に合わない重いダンベルは、ヒジや手首を痛めたり胸に落とす危険性もグンと増すから、安全面からも軽めのダンベルをオススメしておきたい。
慣れてくると、きっと今のダンベルは軽く感じるはずだ。
そうなると、トレーニング効果は薄くなってしまい、筋肥大のスピードは激減してしまう。
女性でバストアップを目指すなら、2kg→5kgぐらいを目安にしたい。
力強い胸板を作りたい男性なら、最低でも10kgで可能なら20kgは欲しいから、プレートを入れ替えて重さを変えられるダンベルを用意したいところだ。
ダンベルベンチプレス
大胸筋の筋トレといえばベンチプレスかダンベルフライが人気を二分しているんだが、ベンチプレスをダンベルでできるようにしたものとはいえ、かなりの効果が期待できるトレーニングだ。
バーベルを使うベンチプレスと比べて重量はどうしても低くなるが、胸の高さまでしか下げられないバーベルと比べて、ダンベルは胸より低く下げられるため可動域が広く大きくなるので、普通のベンチプレスと同じ重量で行うならダンベルベンチプレスの方が高負荷になるメリットがある。
扱える重量が低くなるとはいえバーベルの80~90%までとそれほど低くなるわけでもないうえに、60kgや100kg(どちらも片側)のバーベルも売っている。
60kg×2個=120kgは、筋トレ上級者、しかもかなりのマッチョ(体重にもよる)がバーベルでのベンチプレスをやるときの重さだから、ダンベルベンチプレスで必要十分だとさえ思えるから、まずはダンベルベンチプレスで己のカラダに磨きをかけていこう!
メインターゲット筋肉 | 大胸筋 |
サブターゲット筋肉 | 小胸筋、上腕三頭筋、三角筋(前部) |
レベル | 初級~中級 |
必要な器具 | ダンベル、トレーニングベンチ(なくてもOK) |
ダンベルベンチプレスのやり方
それでは、ダンベルベンチプレスのやり方を、順を追ってチェックしていこう。
1:セットポジションを作る
まずは、ダンベルフライと同じく、ダンベル持ってベンチに仰向けになり、足をベンチから降ろして足裏で床を踏みつけて踏ん張る姿勢を作ってくれ。
次に、ダンベルを肩の真上に持ち上げると、セットポジションの完成だ。
手の向きはバリエーションごとにいろいろあるけれども、基本は手の甲が頭側で、手のひらは脚側に向けるぞ。
手のひら同士が向かい合うようにする(ニュートラルグリップ)と、上腕三頭筋の負荷が増えて三角筋の負荷が減るので、お好みで持ち方を変えるといいぞ。
2:ダンベルをおろしていく
ダンベルの上げ下げが、ダンベルベンチプレスの最もおいしいところだ。
ダンベルを下ろすときは、息を吸いつつ肘を曲げながらゆっくりやっていこう。
上腕が床と水平になるまで下ろすのが基本だが、より負荷が欲しいときはさらに下ろしてもよいので、筋力やその日の調子と相談して負荷を調整してくれ。
ポイントは2つあり、1つ目は肘の軌道。
肘は横に向かいながら下に降りていき、おろし切ったときはワキが開く姿勢になるので、ダンベルもその動きに合わせてカラダの横側へと移動する。
脇を締めたまま肩幅でダンベルを動かすと腕だけのトレーニングとなり大胸筋に効かない間違ったフォームだ。
ポイントの2つ目は、肘関節だけじゃなく肩関節も動くから、肩甲骨の動きを意識することがとっても大事になってくる。
慣れないうちは、腕だけで上げ下げしようとしてしまいがちだが、大胸筋は肩を動かす筋肉ということが分かっていれば、肩甲骨をしっかり使う意識が生まれるハズだ。
3:元(セットポジション)に戻す
ダンベルを上げてセットポジションに戻すときは、息を吐きつつ肘を伸ばしながらダンベルをゆっくりと上げていこう。
このとき、ダンベルを下げた軌道をなぞってセットポジションまで戻すのが正しい動きだ。
ダンベルベンチプレスはダンベルの重さに注意!
胸・腕・肩のトレーニングだが、ベンチから腰やお尻が浮くと上体が反ってしまい体幹部で重量を支えることができず、結果として大胸筋への効きが悪くなるんだ。
ダンベルが重すぎると、持ち上げるパワーを作ろうとして下半身も総動員したことによって腰やお尻が浮いてフォームが崩れることも少なくないから、筋力に合わないような重いダンベルは控えて欲しい。
重くても正しいフォームで上げられば問題はないが、規定回数をこなせないと効果は低くなるし、重さで関節を痛めることもあるので過信は禁物。
やはり、適度な重さがイチバンなのだ。
とはいえ、筋トレ経験のない日本人男性のベンチプレスの平均は40kgほどだから、片側20kgのダンベルじゃスグに物足りなくなってしまうぞ。
最初から、60kgまで足せるダンベルを用意しておくのが、筋トレ的にも経済的にも賢いといえるだろう。
まずは20kgから始めて、少しずつウエイトを重くしていこう。
トレーニングベンチは無くてもできるが、あると可動域が広がって効果がより高くなるぞ。
ダンベルプルオーバー
大胸筋を鍛えるならダンベルフライとダンベルベンチプレスをやっていればいいと思いがちだが、筋肉は同じ刺激を与え続けると慣れて効かなくなる性質があるから、たまには違う刺激を与えてマッスルに喝を入れておきたいもの。
そこで、やっておきたいのがダンベルプルオーバーという種目だ。
ここまで紹介してきたダンベルフライとダンベルベンチプレスは、ダンベルの動きはカラダの横方向なので、大胸筋へかかるチカラも横方向。
しかし、ダンベルプルオーバーは、縦方向へのチカラが働くので、大胸筋メジャー種目では得られない効果を持っているんだ。
やる頻度は他の2つより少ないだろうが、覚えておくと確実に役立つトレーニングだぞ。
メインターゲット筋肉 | 大胸筋(主に上部) |
サブターゲット筋肉 | 小胸筋、上腕三頭筋、広背筋、大円筋、前鋸筋 |
レベル | 初級~中級 |
必要な器具 | ダンベル、トレーニングベンチ |
ダンベルプルオーバーのやり方
ダンベルプルオーバーでベンチに乗せるのは、肩のラインと背中の一部だけ。
つまり、ベンチを縦に使うのではなく、横に使う変則的なトレーニングだ。
1:セットポジションを作る
両手でダンベル1つだけ持って、肩甲骨一帯がベンチに触れるように仰向けになり、脚で床を踏ん張ってカラダを固定する。
肘をしっかり伸ばして腕を上げ、ダンベルを胸の上に持ってきたらセットポジション完成だ。
2:ダンベルをおろしていく
息は吸いながら、バンザイするように腕を頭の後ろに向かって下げ、頭よりも下まで下げていこう。
腕が水平になったときから、大胸筋が縦に伸びて(ストレッチされて)いつもと違う刺激を与えることができるぞ。
腕が水平になるまでは肘は伸びたままだが、頭より下に向かうときは人体の構造上、肘が曲がり始めるので気にしなくてもいいぞ。
ちなみに、意識的に肘を曲げると、広背筋への負荷が抜ける代わりに大胸筋への負荷が強くなるから、胸中心に鍛えたいときは水平以降は自分から肘を曲げていくのもアリだ。
より強い刺激を与えるために、ダンベルを2個使って左右それぞれで持つ方法もあるんだ。
3:元(セットポジション)に戻す
息を吐きながらゆっくりと戻すと、これで1回だ。
戻すときは、曲がった肘を真っすぐに戻しながら、下げるときと同じ軌道で動かすことを心掛けてくれ。
回数は、8~12回で1セットとし、3セットやろう。
ダンベルアダクション
ダンベルアダクションは、手に持ったダンベルをカラダの正面で振り子のように動かす大胸筋の筋トレだ。
見た目は地味だが、効果はバツグン。特に、大胸筋の下部に効くぞ。
名前はあまり知られていないマイナー種目だけど、動きを見たことがある人は多いハズ。
いつもと違う刺激を与えたいときに取り入れてもヨシ、胸のジャイアントセット法に取り入れても良しだ!
メインターゲット筋肉 | 大胸筋(主に下部) |
サブターゲット筋肉 | 小胸筋、(上腕二頭筋、上腕三頭筋、広背筋) |
レベル | 初級~中級 |
必要な器具 | ダンベル |
1:セットポジションを作る
まずは、スタンスを作ろう。片手でダンベルを持ったら足を肩幅より少し広げて立ち、ヒザを曲げてくれ。
次に、腕の固定だ。ダンベルを持った方のワキをしっかり締めて肘を軽く曲げる。人差し指が前、小指がカラダ側にくるように手首を調整してくれ。
最後に、猫背にならないように背筋を張ったまま上体を前傾姿勢にしてダンベルをスイングするスペースを確保したら、セットポジション完成だ!
2:ダンベルを内側にスイングする
セットポジションで作った肘と手首の角度を固定したまま、ダンベルを持った側の腕をカラダ内側にゆっくりと動かしていこう。
動作中は、肘と手首は常に固定しておくことを忘れずに。特に、肘が伸びると負荷が減るぞ。
3:元(セットポジション)に戻す
スイングした軌道に沿って、ゆっくりと元に戻して1回完了だ。
1セット8~12回を3セット目指してやってみてくれ。
ダンベルアダクションのポイント
大胸筋は肩を動かす筋肉ってことをこのページで何度も伝えているとおり、ダンベルアダクションでも肩を動かすことはとても大切だ。
肩を固定して腕だけでスイングしては、上腕二頭筋にしか効かなくなるから、肩の後ろにある肩甲骨を動かす意識が必要になってくる。
ワキが開くと負荷がかかりにくくなるので、脇を締めたまま肩甲骨を動かすのは難しいと感じるかもしれないが、肩をカラダの内側(スイング方向)に入れるように動かすとやりやすいので参考にしてみてくれ。
ちなみに、肘を曲げた方が負荷が乗るので、より強度の高いトレーニングをしたいときは、もっと肘を曲げてやってみるといいだろう。
ただし、肘を曲げすぎると肩の可動域が狭くなるしダンベルスウィングの距離が短くなって効果がダウンするので、肘の角度はMAX45度ぐらいが妥当だろう。
ダンベルを使った胸筋トレのまとめ
胸の筋トレの王道である腕立て伏せ(プッシュアップ)は、慣れるのが早く効果ダウンとマンネリ化に悩まされる。
しかも、めぼしい自重種目が見当たらないので、胸(大胸筋)を効率よく鍛えるならダンベル種目は必須といえるぞ。
このページ紹介した4種目全てを1回の筋トレでこなすと、集中的に負荷を与えて効率的に筋肥大を促すジャイアントセット法のトレーニングが可能だ。
とはいえ、最初のうちはキツくてこなしにくいだろうから、できる種目だけをピックアップしても良いし、自重のプッシュアップも組み合わせて自分に最適なトレーニングメニューを考案してみてはどうだろうか。
最初にキツい種目をやっておくと、軽い負荷でも筋肉を追い込みやすくなるので、ダンベルベンチプレス→ダンベルフライの順にやり、引き続きダンベルアダクションで大胸筋へ横方向の刺激を与え続けたら、最後にダンベルプルオーバーで縦方向の負荷をかけてフィニッシュするのがオススメなので、よかったら参考にしてくれ。