広背筋は、背中の下~真ん中とワキにかけて広がる、人のカラダでイチバン面積の広い筋肉だから、育ってきたときの見栄えの違いは一目瞭然。
人体における筋体積は10位だが、上半身の中では№3の体積を誇っているうえに、発達すると後姿の逆三角形ボディになれるので鍛えがいのあるパーツだ。
見た目だけじゃなくスポーツ動作でも重要度は高いので、ゼヒとも鍛えて欲しい。
広背筋の構造と役割
広背筋は背中全体を覆っている筋肉ではない。
広背筋は骨盤からはじまり、上部の付け根は第6・7胸椎で、すぐ上には肩甲骨がある。分かりやすくいうと「肩甲骨より下の背中の筋肉」であり、背中の3分の2ほどを覆っているから、その大きさはカンタンに想像できるだろう。
形は、発達する前から逆三角形をしているので、君の広背筋もモチロン逆三角形だから、発達してくると後姿のボディラインがスマートになりはじめ、鍛え続けると逆三角形になれる。
その筋肉形状は、脇を広げた姿勢を正面から見た場合でも、発達の具合が良く分かるほどだ。
上部の付け根は、胸椎だけじゃなく上腕骨、つまり腕にもある。
「背中の筋肉なのに腕に付け根?」とギモンに感じるかもしれないが、これは広背筋の働きを示しているものなんだ。
その理由を紹介しよう。
広背筋の参考値
筋体積 | 550立方センチメートル |
速筋遅筋比率 | 速筋49.5:遅筋50.5 |
広背筋の働き
広背筋の働きは、4つある。
- 肩関節の伸展(前に出した腕を戻す)
- 肩関節の内転(肩より下で腕を振る)
- 肩関節の水平外転(肩の高さで腕を前←→横へと動かす)
- 肩関節の内旋(肘を曲げた腕を前に倒す(おいでおいでのような動き))
お気づきのことだろうが、背中の筋肉、しかも最大級の大きさがあるにもかかわらず、肩(腕)の動きに特化して関与しているよね。
実は、広背筋は「肩関節伸展筋群(けんかんせつ しんてんきんぐん)」に属していることからも分かるとおり、主な働きは「肩を動かすこと」なんだ!
特に、伸展・内転・水平外転で大きな働きをしているので、日常生活では、重いものやぶら下がっているものを手で引っ張るときに使われている筋肉なんだ。
また、肩よりも下で腕を振る動き(内転)は、ワキに物を抱えるときにも使われていて、まあ、僕たちはみんな毎日広背筋をフル活用して生きているんだよね。
体幹の伸展と回旋にも若干は関与しているが、体幹を動かすのは広背筋の内側で背骨に沿っている脊柱起立筋(インナーマッスル)の役目であって、アウターマッスルの広背筋はほぼ関与していないから、広背筋がスゴい=カラダが良く動くではないことは覚えておいて欲しい。
意外だが、広背筋(背中)を鍛えるとお腹の皮膚が背中側に引っ張られることから、腹筋がよく割れて見えるという副次的効果もある。
シックスパックを目指して腹筋ばかりしていないで、背中の筋肉にも目をむけてくれ!
スポーツ動作と広背筋
肩を動かすということが腕を振ることにつながっているのは、カンタンに想像できると思う。
そのとおり、広背筋は遠心力を使った腕のパワーを生み出すことに長けていて、スポーツシーンでは、体幹の捻じり(回旋)動作と併用してパワーあるプレイをすることが多いぞ。
投打に渡って大切。早く遠くに投げるのはもちろんだが、特にバットスイングでの貢献度が高くスイングスピードにも関わっている。
ダウンスイング開始から手首の返しが始まるときまで使われる。時間にするとコンマ数秒と短いが、バックスイングで貯めたパワーをダウンスイング開始と同時にクラブへ伝えるための大切なシーンだ。
テイクバック→インパクト→フォローまでの、一連のラケット動作で常に使われ続けている。
パンチ(突き)の動作後半、ヒジが体幹側面を通ってからインパクトの手前まで広背筋が本領を発揮する。スピードとパワーを備えたパンチ(突き)には欠かせない筋肉だ。
組んだ腕を引いて、相手の重心を崩しながら自分側に寄せるときに使う。攻撃の取っ掛かりとなるだけじゃなく、相手の重心を大きく崩せるかどうかの分かれ目にもなるので、技の成否にも大きく影響しているぞ。
広背筋のトレーニング方法
「背中にある筋肉だから、背中を鍛えればOK」と考えていたらNGだ。よくある「背筋運動」をしても、広背筋には思ったほど効かないぞ。
広背筋は「肩関節伸展筋群(けんかんせつ しんてんきんぐん)」に属しているから、肩を動かすことで大きな刺激を与えられるため、肩に負荷をかけるトレーニングが正しい。
正確には、肩を動かして腕を引いたり回旋させる動作。広背筋は腕を引いたり水平に回すための筋肉だからだ。
そのためのトレーニング法として、次の4種目を紹介しておこう。
- デッドリフト
- ベントオーバーローイング
- ラットプルダウン
- リバースフライ
なんと、この4種目はすべて大がかりな筋トレマシンが必要な種目だから、自宅で取り入れることは極めて難しい。
そう、背中は道具無しの自重筋トレで鍛えることはほぼほぼ難しく、何かしらの器具を必要とする部位なんだ。
そこで、用意してほしいのがチューブやダンベル。どちらかでもイイ。
なんと、チューブとダンベルは、負荷は低くなるがマシントレーニングの代わりになる優れものなので、自宅でも広背筋を鍛えることができるんだ。
デッドリフトなら「チューブデッドリフト」「ダンベルデッドリフト」
ベントオーバーローイングなら「チューブ~~」「ダンベル~~」
のように、それぞれチューブ版ダンベル版が用意されていることからも、効果のほどがうかがい知れるだろう。
ラットプルダウンとリバースフライもチューブがあれば「チューブラットプルダウン」「チューブリバースフライ」になる。
トレーニング方法は、それぞれのページで紹介しているので、参考にしてほしい。
どちらを選ぶかは君の自由だが、手軽(安くて保管しやすい)なチューブから始めてみてはどうだろうか?
ゼヒとも、魅力的な背中を作ってくれ!