肩のトレーニングはダンベルなどの器具を使うのが近道。
とりわけ、取り組みやすいのに効果テキメンな種目といえば、ダンベルを上げ下げ(スイング)するだけで三角筋を大きくできる、フロントレイズ・サイドレイズ・リアレイズからなるレイズ種目だろう。
肩回りといえども、あなどってはいけない。
三角筋は上半身の筋肉でもトップクラスに属するほどの意外な大きさを誇っていて、筋繊維も大きく3つに分かれているので1種目では全体を鍛えぬくことができないから、三角筋の前・横・後ろに応じた3種目が設定されているんだ。
肩を鍛える日は、3種目を一気にやり抜いてたくましくて幅広い肩を手に入れてくれ!
女性がやるときは、水を入れた500mlペットボトルのように軽いものから始めるといいぞ。
ぶっちゃけ、重さがあって手に持てるなら、なんでもOKだ!
では、順を追ってみていこう!
フロントレイズ
フロントレイズは、ダンベルを体の前で上げ下げ(スイング)して、三角筋前部を鍛える種目だ。
少なからず大胸筋と僧帽筋にも刺激はいくがスズメの涙程度と考え、基本的には、三角筋前部にピンポイントで負荷を与える種目と捉えて欲しい。
それでは、フロントレイズの手順をチェックしよう。
フロントレイズのやり方
1:セットポジションを作る
両手にダンベルを持って真っすぐ立ち、若干太ももの前に手を出そう。
上体が前後左右どれかにブレると肩に正しく負荷をかけられないので、しっかり背筋を伸ばして腹筋に力を入れて体幹を固定してくれ。
そして、何気に大事なのが、肩甲骨を寄せること。
肩甲骨を寄せると、僧帽筋が縮んでダンベルの上げ下げ動作に関与できなくなるので、より一層肩に効くんだ!
さあ、これでセットポジションの完成だ。
2:ダンベルを持ち上げる
肩の力を使って、両手を同時にゆっくりと水平まで持ち上げよう。
それはもう、ダンベルを持って威力を増したロケットパンチさながらの姿になっているはず!
ダンベルは、腕で持ち上げてはいけない。
フロントレイズは肩の筋肉を鍛えるトレーニングなので、肩を支点にして肩の力で持ち上げるのが絶対条件だぞ。
そのあとは、ゆっくりと腕を降ろしていくんだが、腕がダランとしていたセットポジションまで戻すと、肩への負荷が一気に抜けてトレーニング効果が落ちるから、セットポジションの少し手前で止めて欲しい。
これで1回だ。1セット8~12回を3セットやってみよう。
フロントレイズの注意点!
フロントレイズで意識してほしいのは次の3つだ。
- 肩をゆっくり動かす
- 上体を真っすぐに固定する
- 肘を曲げすぎない
早く動かすと反動がついて肩の負荷が弱くなるから、4秒かけて上げて4秒かけて下げるスローな動きを心掛けよう。
背中を反ると、体幹の力でダンベルを上げてしまって肩への刺激が抜けるので、腹筋(腹直筋・腹斜筋)に軽く力を入れて体幹を固定してくれ。
肘を伸ばすほど刺激が強くなる反面、肘への負荷も大きくなる。
ほんの軽くヒジを曲げるだけで肘関節への負荷を和らげられるから、重いダンベルを使うときほど肘にも気を使ってほしい。
だが、曲げすぎるとダンベルを動かす距離が短くなるし肩とダンベルの距離が近くなるので、これまた負荷が抜けてしまうから注意しよう。
フロントレイズの豊富なバリエーション
フロントレイズは、手の向きと使う器具によって多彩なバリエーションがあるのが特徴だ。
3種類ある手の向き
手の甲を上にするオーバーハンドグリップ、手のひらが上のアンダーハンドグリップ、親指を上にするハンマーグリップがある。
通常は、オーバーハンドグリップを使い、ハンマーとアンダーは上腕二頭筋への刺激が強まる代わりに三角筋への関与が弱まるから、好みに応じて使い分けてみよう。
器具を変えると強度も変わる
ダンベルをバーベルに置き換えるとバーベルフロントレイズ、チューブを両足で踏んで固定すればチューブフロントレイズ、自宅でやることは滅多にないだろうがケーブルマシンを使えばケーブルフロントレイズになり、動きはどれも同じだ。
なお、背もたれのある椅子やベンチに座ってやるシーテッドフロントレイズは、上体反らしを防げるし、座ってるので楽に感じるからオススメしたい。
ただし、ひじ掛けのある椅子はダンベルの可動域を奪うし、ヒジの曲がりが大きくなるのでNGだぞ。
左右同時でやるのが基本だが、左右交互(オルタネイト)でやると正しいフォームでやりやすくなるので、「どうも効きが悪い」と感じたらフォームをチェックしてみてくれ。
サイドレイズ
サイドレイズは、ラテラルレイズとも呼ばれていて、三角筋中部(側面)を鍛える種目で、僧帽筋にも刺激を与えられる。
ダンベルを体の横で上げ下げ(スイング)する動きは、まるで鳥が羽を動かしているかのようだぞ。
やり方は、フロントレイズをほぼ同じなので、迷うことは少ないはずだ。
サイドレイズのやり方
1:セットポジションを作る
まずは、両手にダンベルを持って真っすぐ立ち、腕を軽く曲げる。
フロントレイズと同じく、上体がブレると肩に正しく負荷をかけられないので、伸ばした背筋と腹筋で体幹を固定しよう。
肩甲骨を寄せて僧帽筋が関与できない状態になったら、それがセットポジションだ。
2:ダンベルを持ち上げる
サイドレイズでは、手のひらを上にして、息を吸いながらダンベルを真横に上げていくぞ。
これまたフロントレイズ同様、腕の力を使わず、支点にした肩のチカラを使ってダンベルをみぞおちの高さまで持ち上げてくれ。
支点となる肩は上下に動いてはいけないから、鏡を見ながらやると正しいフォームを作りやすくなるぞ。
肩が動くこと、すなわち僧帽筋が関わっていることとなり、トレーニング効果は落ちてしまうから要注意だ。
腕を降ろすときは、息を吐きながらゆっくりと降ろすが、手が太ももに付くと肩への負荷が全部抜けるので、手と太ももの間に15cmぐらいのスキマを作るイメージでやるとうまく行きやすいぞ。
これで1回だ。1セット8~12回を3セットやってみよう。
サイドレイズを上手にやるコツ
サイドレイズは立ってやる人が多いが、実は、座った方が上手にやりやすいんだ。
なぜなら、座った方が下半身の関与を減らして反動をつけにくくできるし、接地面がお尻になるのでバランスが取りやすく上体が安定しやすくなって正しいフォームでやりやすくなる。
それでも効きにくいと感じるなら、きっと腕が真横ではなくカラダの前側に出ていると思う。
腕が前に出る(肩の外旋動作)と、三角筋の側部に効かなくなるので、腕を真横に出す(肩の外転)動きを意識しよう。
一度、鏡でダンベルを上げた時の横向き姿勢をチェックするといいぞ。
手の位置が肩より前にあるなら、フォームとしては失敗なんだ。
リアレイズ
リアレイズは、三角筋の後部を鍛えるトレーニングだ。
三角筋(後部)を鍛えるトレーニングではあるが、上腕三頭筋や普段刺激を与えることが少ない背中(広背筋・僧帽筋)も軽めに鍛えられるので初期の背中トレにも役立つぞ。
レイズ種目の中でも、リアレイズだけはセットポジションづくりが少し難しく、また、肩~背中に効かせにくいかもしれない。
「肩に効くぅ!」と感じるまで、何度も試してみて欲しい。
リアレイズのやり方
1:セットポジションを作る
まずは、下半身から作っていくぞ。
ダンベルを両手に持って立ったら、脚を肩幅に広げ、膝を軽く曲げよう。
次に、上半身だ。
上体を前傾(水平に近いぐらい)させたら、肩甲骨を寄せる。
これで、セットポジションの完成だ。
前傾させるときは、腰から折るのじゃなく骨盤も一緒に前に倒すイメージでやると、上体(背中)が丸まるのを防げるぞ。
上体が丸まると、腰を痛めやすくなるので気を付けよう。
2:ダンベルを後ろに引き上げる
セットポジションの段階で、すでに若干の負荷がかかっている。
ここから、ゆっくりとダンベルを持った手(腕)を背中側に引き上げていくことで、肩~腕~背中により負荷をかけていくんだ。
セットポジションで作った肘の角度を固定したまま、大の字に腕を広げるように上へと水平になるまで引き上げていく。
リアレイズで難しいのはここで、効かないと感じるときは肩甲骨を寄せずに腕のチカラだけで引き上げてしまっているんだ。
戻すときは、引き上げた軌道を沿って、ダンベルを元の位置に戻したら1回終了。
これを8~12回で1セットとして、合計3セットやろう。
セットポジションにあるときは負荷が一番低いので、止まらずに腕を引き上げていくようにすると効果が増すぞ。
リアレイズは、腕を引き上げているときの負荷が高いんだ。
【リアレイズが難しいなら】低負荷な方向に腕を上げてる可能性アリ!
筋トレの本によっては、後ろに腕を上げていくと紹介しているものがある。
走るときに肘をを引く軌道で動かすやり方だ。
この方法だと、腕を上げ切ったとき右腕と左腕が一本にならず、背中のラインに沿うようにフィニッシュするんだが、肩から背中にかけての負荷がすこぶる弱いので、「リアレイズは効かない」とか「難しい」と感じる一因になっていると、私は推測している。
言っておくと、この方法は間違ってはいない。
むしろ、女性やもやし君向けの負荷に調整してあり、初心者の導入向けというのが正しい。
この方法でやるなら、腕を真後ろではなく、気持ちナナメ後ろに引くのがポイントだ。
慣れてきたら、少しづつ脇を開いてダンベルを持ち上げる方向(肘のフィニッシュポイント)を背中側から肩のラインへと移行していくと、効きが実感しやすくなるんだ。
リアレイズが難しい(効きが悪い)と感じるのは、この方法をやっているから。
手始めに、肩側~背中側までいろんな角度で腕を引いてみて、肘を動かす方向によって負荷が大きく変わることをカラダで実感してみると、その後のトレーニングがきっと上手くいくぞ。
リアレイズのバリエーション
リアレイズは、上体を倒す角度によって効果ががらりと変わってくる。
上体の傾きをキープしやすい座ってやる「シーテッドリアレイズ」がオススメだが、腰に不安を抱えているなら、立たずに寝そべってやる「サイドライイングリアレイズ」と「ライイングリアレイズ」を試してみるものいいだろう。
シーテッドリアレイズ
立って腰を曲げる姿勢が苦しいなら、ひじ掛けの無いイスに座ってもOKだ。
これを、シーテッドリアレイズと呼ぶぞ。
立つか座るかの違いだけで、腕の上げ方はノーマルなリアレイズと同じだ。
サイドライイングリアレイズ
サイドライイングリアレイズは、ベンチに横向きになって寝転がり、上になった方の腕を前に出したら背中側に持ち上げていくものだ。
体制の関係で左右交互にしかできないが、ノーマルなリアレイズよりも可動域がとても大きく取れるぞ。
ベンチじゃなくても床に寝転んでもできるのが魅力的だ。
ライイングリアレイズ
ライイングリアレイズ(サイドがつかない方)は、ベンチにうつ伏せになって腕を引き上げるから、両肩同時に動かすことができる。
ベンチじゃなくとも、バランスボールでも代用できるぞ。
僧帽筋の関与を減らすことができるので、三角筋により効かせやすくなるぞ。
寝転んで行う2つのバリエーションは、セットポジションづくりがカンタンだし腰を痛めることもない。
三角筋後部を徹底的に追い込むときに、ノーマルなやり方だけじゃなくいろんなバリエーションを取り入れることで、飽きずにかつ違う刺激を筋肉に与えることができるぞ。
肩を集中的に鍛えるジャイアントセット法
肩の三角筋は、筋繊維が3つに分かれていて、動かす方向によって使う部位(筋繊維)が違うから、1種目ではまんべんなく鍛えられない。
そこで、1つの筋肉(部位)をインターバルなしで4種目続けて動かし続けるジャイアントセット法を取り入れると、肩トレーニングの効果が飛躍的にアップするんだ。
一度ダンベルを持ったら、そのままフロント・サイド・リアとノーインターバルで3種目もできてしまうのがレイズ種目の大きなメリット。
そこに、もう一種目、そうだな、ショルダープレスとかプッシュアップを加えるだけで、立派な肩トレが完成するんだ。
前・横・後ろで筋繊維が分かれているから、フロントをやっているときはサイドとリアが休めると思いきや、動かし続けることでじわじわと疲労が溜まっていくので、これが意外とキツい。
各種目1セット8~12回をインターバルなしでこなしたら1分休憩し、ふたたび・みたび、4種目連続で鍛えぬく!
メンズであっても、肩を鍛えた経験がないなら、2kgの軽~いダンベルを使っても3セット目はゆっくり動かすのは至難の業になるほどで、最後のショルダープレスでは頭から床に突っ込んでしまうのも珍しくないから、だまされたと思ってチャレンジしてみてはどうだろうか。
額の汗を拭う手が上がらない・・・。
ここまで肩を追い込めるのが、ダンベルレイズによるジャイアントセット法の大きな特徴だ!