腕立て伏せ(プッシュアップ)は、腕&胸の筋トレの王道かつ定番トレーニングだ。
しかし、意外と負荷が高く、筋トレを始めた頃は1回もできないことだってある。
ここでは、筋力や筋トレ経験は関係なく、誰でも正しいフォームで腕立て伏せができるように、初心者向けの低負荷&正しいフォームでのやり方や、脱初心者~中級者向けの強負荷バリエーションを図解で解説してみた。
腕・肩・胸の筋肉を細マッチョレベルまで育てられるようにまとめたので、じっくりと目を通してくれ!
まずは、腕立て伏せ(プッシュアップ)の基本形と、できない人(初心者)のためのやり方から紹介するぞ。
メインターゲット筋肉 | 大胸筋(上部・中部)、上腕三頭筋(二の腕)、三角筋(肩) ※手のスタンスで各筋肉への刺激を強弱できる |
目的 | 胸板を厚くする、バストアップ |
スポーツ動作 | 野球(ピッチング・バッティング)、テニス(スイング)、バドミントン(スイング)、投てき、体操(吊り輪)ラグビー(パス)、アメフト(相手を押す)、水泳 |
腕立て伏せの正しいやり方~フォームとコツ
セットポジションを作る
まずは、床に手をついて腕を伸ばそう。
手と手の間の広さは肩幅の1.5倍で、指は前に向けるんだ。
次に、つま先を床につけて脚を伸ばし、頭から脚を一直線にしたら基本となるセットポジションの完成だ。
ヒジを曲げながらカラダを下げていく
息を吐きながらヒジを曲げて、カラダを床ギリギリまで下げよう。
頭から足までを一直線に保つのが正しいフォーム。肘を曲げる量で負荷を調整するんだ。
カラダ(腰)が反ると、肘を曲げる量が減って大胸筋に効きにくくなり、猫背になると肩を鍛える「ショルダープレス」っぽいトレーニングになってしまうよ。
フォームが崩れないようにするコツは顔。
顔を前に向けて、3メートル先を見るようにするとフォームが崩れにくくなるぞ。
足は、広げるとバランスがとりやすいのでオススメ。
狭くすると不安定になって、少しだが体幹トレーニングにもなるから、慣れたらチャレンジしてみよう。
肘を曲げながら肩甲骨を近づけるようにすると、大胸筋への効きが強まりまるので、余裕があれば意識してみよう。
元(セットポジション)に戻す
息を吸いながら、手で床を押してセットポジションに戻していこう。
カラダをピンと一直線に保意識がないと、上体が大きく反ったヨガのポーズになってしまい、負荷が抜けてしまうぞ。
セットポジションに戻って1回だ。8~12回を1セットとして3セットできるまでチャレンジしよう。
セット間のインターバルは短いほどトレーニング効果が上がる。
まずは60秒で試し、慣れてきたら少しずつ短くしていき、30秒でトライすると効きがかなり変わるぞ。
腕立て伏せができない~低負荷なやり方からスタート
腕立て伏せは、過去に運動経験があるなら、筋トレを始めたばかりでも何回かこなせてしまうが、筋力が弱いもしくは体重があれば1回ですらキツくなる。
自重トレーニングだから、体重に比例してハードなトレーニングに変貌するし、体重が軽くても筋力がなければ、やはりハードなトレーニングになる。
そのため、筋力をつけるために腕立てにチャレンジしているのに、筋力がなきゃ腕立てできないという逆説的な現象が起こるのってしまうんだ。
そこで、腕立てが十分にできないなら、これから紹介する、負荷を低くしたやり方を試してみよう。
体幹が弱くて、フォームが崩れてしまう場合にも有効だぞ。
ヒザつき腕立て伏せ
支えが足からヒザに変わるだけで、急激に負荷が減る。
まずは、ヒザつき腕立て伏せを試してみよう。
床につくのが足かヒザかだけの違いで、あとは普通の腕立て伏せと一緒。
頭からヒザまでを一直線に保つのを忘れてはいけないぞ。
インクラインプッシュアップ
腕立て伏せは、床などの平坦なところでやるのが一般的だが、足より高いところに手を置いて負荷を下げるやり方がある。
これを、インクラインプッシュアップと呼ぶんだ。
手の位置が高くなるほど負荷が減ってラクになるので、自分の筋力に合わせて調節してみよう。
手を置く場所は、台やイスに壁などさまざまだ。
ちなみに、下の画像もインクラインプッシュアップの一種。
腕立てをできない人はたくさんいるので、恥ずかしがらずに負荷を下げて筋力をつけてから、ノーマルなやり方にチャレンジしてみよう。
負荷を強くした腕立て伏せのバリエーション5種
ここからは、オーソドックスな腕立て伏せから派生した5種類のバリエーションを紹介していくぞ。
- ワイドスタンスプッシュアップ
- ナロースタンスプッシュアップ
- クラッププッシュアップ
- デクラインプッシュアップ
- 片足上げ腕立て伏せ
普通の腕立て伏せがラクラクこなせるようになって物足りなさを感じたら、ゼヒ試してみてくれ!
「負荷を強くした」としているが、「ワイドスタンス」と「ナロースタンス」は、鍛える筋肉が変わるだけ。実際に強烈なのは「クラップ」「デクライン」「片足上げ」の3つだ。
ワイドスタンスプッシュアップ
手の位置(スタンス)が広い腕立て伏せを、ワイドスタンスプッシュアップと呼ぶ。
スタンスはだいたい肩幅の2倍以上と思ってもらってOKだ。
ワイドスタンスは、普通の腕立て伏せよりも大胸筋に効かせられる反面、上腕三頭筋への刺激は弱まるので、トータル的な負荷は普通の腕立て伏せと変わらないと思ってよい。
やり方(手順)は、普通の腕立て伏せのスタンスを広くしただけなので、応用しやすいぞ。
ただし、広げすぎには要注意。
スタンスを広げるほど肘関節の可動域が狭くなって、胸や肩に刺激を与えにくくなってしまうんだ。
ナロースタンスプッシュアップ
ワイド(広い)の反対でナロー(狭い)スタンスプッシュアップは、その名のとおり手のスタンスを肩幅以下まで狭めた腕立て伏せ。
ナロースタンスプッシュアップの効果は、効く筋肉がワイドと逆になって上腕三頭筋(二の腕)を鍛えやすくなるってこと。
腕立て伏せ | メイン筋肉 | サブ筋肉 |
ワイドスタンス | 大胸筋(胸) | 上腕三頭筋(二の腕) |
ナロースタンス | 上腕三頭筋(二の腕) | 大胸筋(胸) |
胸板が欲しい(バストアップしたい)ならワイド、二の腕を引き締めたいならナローを選んで、自分好みにボディメイクしよう。
やり方(手順)は、ノーマルな腕立て伏せのスタンスを狭くしただけなので、ワイド同様に応用しやすいぞ。
クラッププッシュアップ(クラップ腕立て伏せ)
道具を使わない自重系腕立て伏せの中で、イチバン辛い(かもしれない)クラップは、空中?で手をパンッとたたく腕立て伏せ。
曲げた腕(ヒジ)を勢いよく伸ばして跳ね、床から手を離してクラップ(叩く)し、また手を床につけるを繰り返す、スピーディーかつアグレッシブな腕立て伏せだ。
高く飛ぶほど負荷が高いが、筋力が必要なので、自信がついてきたころにチャレンジしてみよう。
スタンスは、ノーマル・ワイド・ナローのどれでもOKなので、鍛えたい筋肉に合わせることができるぞ。
他の腕立て伏せがじわじわと負荷をかける(科学的ストレス)トレーニングならば、クラップは瞬時に負荷をかけて(物理的ストレス)筋繊維を破壊することを目的としているんだ。
デクラインプッシュアップ
デクライン(decline)とは、英語で「低下」の意味。
脚よりもカラダを低く沈みこませる腕立て伏せを「デクラインプッシュアップ」と呼ぶ。
つまり、上半身と下半身の高さ位置が逆転するワケで、台や椅子など高さがあって足を乗せても安定する物が必要だ。
- 腕を伸ばし床に手をつける(スタンスは安定するワイドがおすすめ)
- つま先(足の甲)を台に乗せてヒザを伸ばし、頭から脚を一直線にする【セットポジション】
- ヒジを曲げて顔(もしくは胸)を床ギリギリまで下げる
- 手で床を押しながらセットポジションに戻す
従来のプッシュアップは水平近くまでカラダを落とすが、デクラインは水平よりさらに低く体を落とすので、かなり負荷が高いトレーニングとなる。
手が低くなる(足が高くなる)につれ、効果(負荷)は跳ね上がっていくぞ!
片足上げ腕立て伏せ(片足上げプッシュアップ)
プッシュアップは、大胸筋と上腕三頭筋を鍛えるトレーニングだが、片足上げプッシュアップは体幹も一緒に鍛えられる。
そのワケは、4本の手足で体重を支えていたものが3本になるのでバランスが悪くなり、体幹を使って姿勢を維持しなくてはいけないから。
上半身に(軽くだけれども)まんべんなく刺激を与えられるトレーニングへと変貌するんだ。
やり方は、片足を水平まで上げてセットポジションを作ること以外は、通常の腕立て伏せと同じだ。
スタンスはワイド・ナローともにOKだが、ナローは一段とバランスが悪くなるので、より体幹に効くぞ!
腕立て伏せの負荷をさらに上げる小ネタ
このページで紹介したすべての腕立て伏せは、ちょっとした工夫でさらに負荷を上げることができる。
スッスッと軽く1セット10回を3セットやっても限界(オールアウト)がこない、はたまた、筋肉痛にならないようだと負荷が低い証拠なので、ここで紹介する3つの負荷アップバリエーション(スロー、あご付け、重り)に取り組んでみよう。
ゆっくりやる(スロープッシュアップ)
1回の腕立て伏せを、上げ下げそれぞれ4秒(計8秒)かけてあげるだけの方法。
- 3秒かけて下げる
- 1秒ウェイト(姿勢保持)
- 3秒かけて上げる
- 1秒ウェイト(セットポジションで姿勢保持)
とても楽そうだが、肘を曲げ伸ばす時間が8倍(普通の腕立ては1回1秒ほど)になるので、負荷は思ったよりも強いぞ。
その効果は、50回できてた腕立てが10回でキツくなるほど(個人差あり)。
なお、セットポジションでは、腕を伸ばし切らずに少し曲げたままにして、常に負荷をかけるべし!
あご付け腕立て伏せ
アゴが床につくまで落とすだけだが、顔が肩より下になった態勢から腕を伸ばしていくのは、かなりパワーが必要!
スロープッシュアップと組み合わせると、さらに負荷が増してパンプアップしやすくなるぞ。
重りを背負う
重り(砂利や砂を入れた袋、未開封の米など)を背中に載せて腕立てをする方法だ。
重りを落としてケガするかもしれないので、カラダに密着するものを選ぼう。
ホームセンターで、厚いビニールに入った20~30kgの砂が300円程度で手に入るので、そのまま使うといいかも。
体幹や脚も含めた全身を鍛えらえる反面、腰に大きな負担がかかるので注意が必要だ!
道具を使った腕立て伏せ(プッシュアップ)はさらに筋肉に効く!
プッシュアップバー、バランスボール、チューブ(チューブプッシュアップ)などの筋トレグッズを使えば、さらに高い強度で腕立て伏せができる!
バランスボールを使うときは、小さなものを2個用意して手の下に置こう。
バランスが取りにくくなって体幹トレーニングにもなるぞ。
道具を使わない自重系腕立て伏せ(プッシュアップ)のまとめ
ここでは、基本の腕立て伏せ(プッシュアップ)と5種類のバリエーション(ワイドスタンスプッシュアップ、ナロースタンスプッシュアップ、クラッププッシュアップ、デクラインプッシュアップ、片足上げ腕立て伏せ)に加えて、負荷を調整する2つの方法(負荷を下げる、負荷を上げる)を紹介した。
腕立て伏せは、筋トレの基本中の基本となるトレーニングだ。
男性なら厚い胸板、女性ならバストアップに効果的ですので魅力的なボディ作りの基本ともいえる。
肩にも効くので、肩幅が広くなって強さの象徴にもなるし、肩回りの筋肉を動かすことで肩こり解消にもなる副次的効果もあるから、普段から欠かさずトレーニングしたい鉄板メニュー。
自重系トレーニングは怪我しにくく安全な代わりに、慣れると負荷が弱く物足りなく感じるが、負荷アップの工夫をするだけでやりがいのあるメニューに早変わりするのが魅力といえるだろう。
さあ、ガッチリ厚い胸板を作って、オトコの強さをアピールするんだ!
器具・道具を用いたとしても、チューブなど場所を取らないものだから、住宅環境に合わせられるのもプッシュアップ系種目の素晴らしい面だと、私は思う。