菱形筋(りょうけいきん)は、大菱形筋と小菱形筋の2つから成る、背骨と肩甲骨をつなぐ菱形(ひしがた)の筋肉だ。
音読みの「りょうけいきん」が正しいので、「ひしがたきん」と訓読みしたらハズカシイから注意してくれ。
菱形筋の構造と役割
菱形筋は、僧帽筋の奥にある肩甲骨を動かすときに使うインナーマッスルだ。
胸椎と肩甲骨を幅広くつないでいる大菱形筋と、首側に位置して頸椎と肩甲骨をつなぐ細い筋肉の小菱形筋の2つからなっている。
菱形筋の参考値
筋肉 | 大菱形筋 | 小菱形筋 |
筋体積 | 118立方センチメートル | 118立方センチメートル |
速筋遅筋比率 | 速筋55.4:遅筋44.6 | 速筋55.4:遅筋44.6 |
幅が広い割に体積は小さく、肩甲骨を動かす筋肉群の中では小さい部類に属する。
腕を手前に引くときに使われる筋肉であり、速筋の比率が高いことから、腕を引き続けるのではなく瞬時にグンッと引く動作で力を発揮する役割があることが垣間見れる。
菱形筋の働き
菱形筋は、肩甲骨を内側に寄せる(内転させる)働きを持っているんだ。
試しに、前に出した腕をゆっくりと後ろに引いてみると、ヒジがカラダの横を過ぎたあたりから、肩甲骨同士が寄っていくのが感じ取れるだろう?
これが、内転の動きであり、菱形筋が関与しているんだ。
他にも、肩甲骨を上にあげる働きもあるので「まるで僧帽筋のような働きをしている筋肉だなぁ」と思うかもしれないがそのとおり、菱形筋は僧帽筋や広背筋のサポート役を務めている筋肉なんだ。
ちなみに、菱形筋の「大」「小」ともにほぼほぼ同じ働きをしていて、大きく違うのは起始(大は胸椎=胸、小は頸椎=首)と太さぐらいのものだ。
スポーツ動作と菱形筋
菱形筋は、腕を引くスポーツで活躍するから、スポーツごとの活躍のシーンは、僧帽筋とほぼ同じと思っていただいてOKなので、詳しくは僧帽筋のページをご覧いただきたい。
ただし、僧帽筋には肩甲骨の上方回旋(腕を上にあげる動き)と頭部の伸展(上を見上げる動き)の役割もあるが、菱形筋にはそれがない。
よって、僧帽筋で紹介している重量挙げの動作や、格闘技・コンタクトスポーツでの頭部固定は、菱形筋ではできないので注意してくれ。
菱形筋のトレーニング方法
菱形筋は、肩甲骨を動かす筋肉なので、肩を使ったトレーニングが有効なんだが、位置的に僧帽筋の陰に隠れているので僧帽筋トレーニングで鍛えることができるぞ。
僧帽筋を鍛えるには、チューブかダンベルが必要だ。
こちらのページのトレーニング方法で刺激を与えられるが、中でも有効なのが引いて肩甲骨を寄せる動作をする「チューブシーテッドローイング」「ワンハンドローイング(ダンベル&チューブ)」といえる。
肩甲骨を寄せる動きのトレーニングは他にもあるが、取り組みやすいのはこの2つであると、私は考えている。